今回は話を企業経営に戻して社会保険を二つの事業所で加入する『二以上事業所勤務届け』についてお話致します。

024 なぜ二以上事業所勤務届けが必要になったのか。それは私が合同会社を経営しており社会保険に加入義務があり、合同会社を経営しながら今の仕事を続けるには社会保険に二つ加入する必要があったこと、今回はその問題に直面しこの届け出について知ることになりました。
 副業しながら他の企業に勤めるのは新規企業設立後にはよくある話のようでその場合は収入に応じて収入が多い勤務先を選択事業所、もう一方を被選択事業所として記載して社会保険組合・協会に二事業所が加入することが可能となります。その場合、選択事業所が加入する保険組合・協会が事務を一括して行うことになります。

 さて気になる健康保険料と厚生年金額ですがその場合はそれぞれの標準報酬月額等級に応じた報酬月額を合算して健康保険額と厚生年金額を定め、それぞれの事業所の報酬月額の比率によってそれぞれ事業所に請求される仕組みとなっているようです。 例えば選択事業所の報酬月額が180,000万 非選択事業所が100,000万であった場合は次のような計算となるようです。

【標準報酬月額】

・選択事業所:健康保険料7,650円
・選択事業所:厚生年金保険料 26,355.60円
・非選択事業所:健康保険料4,165円
・非選択事業所:厚生年金保険料 14,349.16円
※ 都道府県によって健康保険料額・厚生年金保険料額は異なります。

【選択事業所請求額】
選択事業所 報酬月額比率 14:9
・健康保険料額:(7,650+4,165)×9/14=7,595.36円
・厚生年金保険料額:(26,355.60+14,349.16)×9/14=26,167.35円

【非選択事業所請求額】

選択事業所 報酬月額比率 14:5
・健康保険料額:(7,650+4,165)×5/14=4,219.64円
・厚生年金保険料額:(26,355.60+14,349.16)×5/14=14,537.41円

 正直、二つの社会保険に加入することにあまり意義を感じませんが、合同会社では社会保険加入が義務付けられているためやむなく届け出を提出することにしました。 この二以上事業所勤務届けは保険料を複数の事業所から収めるため、雇用側・事業所側からすれば正直メリットがなく感じられ、また保険組合・協会側からすると複数の保険事務を一括して行うこと、事業所側からすれば通常と険料額・厚生年金保険料額が異なることから事業所によっては断られることもあるとのこと。新しく事業所に勤務される方は面談の折に相談して二以上事業所勤務届けの制度を進めることをおすすめします。

 しかし就業者がそのような保険制度によって安心して働けない、保険によって働くことに影響がでてしまうことはあまり好ましくない状況であり、その制度自体に疑問を感じさせられた出来事でした。